Home > Interview > 暗室の外で vol.2


私が伊島 薫氏に暗室助手として雇ってもらう時に言われた言葉があります。それは「暗室を出たら勉強しろ、暗室に入ったら冒険をしろ」という言葉でした。それは今も忘れられない言葉となっています。

そこで私が普段、暗室を出て見たり、聴いたり感じたりしている事を書き連ねていきたいと思います。 私は音楽好きで、音楽家好き、音楽の本を読むのも大好き、そして音楽を通 して色々と考えるのが好きです。よって音楽にまつわる事が多くなりますが、よろしくお願いします。
この仕事を始めた頃はまだまだ無駄な体力を使っては心も擦り切れていたものでした。今では多少の図々しさも身に付いてきたので結構うまくやれているのですが、若さというのはそれだけで疲れを呼ぶものなんですね。もう癒されたくてしょうがない。その頃にすがる様に聴いていたCDがあります。

それはC urtis Mayfieldの”Ther e’s No Place Like Am erica Today”。 このCDはスローな曲やゆったりとしたミデ ィアムテンポの曲で占められたアルバムで、 夜に聴くと、仕事の疲れを解きほどいてくれ ます。特に3曲目の”SO IN LOVE ”にはもうトロけそうになりますね。ブランデーが腹に沁みるようなあの感じ。ファルセットがまた堪らない。すっかり肩の力が抜けますね。だから、気が急いている時や慌てて家を出て車を運転する時なんかに聴いたら安全運転間違い無し。気持ちをリセットさせ てくれる、ある種の常備薬。
カーティスは’42年シカゴに生まれて、十 代の頃から教会で歌い始めて、いくつかのバンドを経て、The Impression sを結成。インプレッションズ時代の”I’ m So Proud”や”People Get Ready”もすごく良い曲。マーティン・ルーサー・キングに影響を受けていたり、60年代の盛り上がりを見せた公 民権運動という社会性を背景にしたカーティスの歌世界は、ヘヴィな黒人社会の生活と共 に「神」「愛」(キリスト教社会的)という感覚に溢れている。
私にとって「アメリカ」を考える時、カーティスの歌はいろいろな事を教えてくれる。といっても堅苦しいところ は無いです。サウンドはグルーヴィでスウィート。涙腺に来ます。(私の心の琴線/涙腺刺激ソングはこの”People Get Ready”と山下達郎の”蒼氓”です。毎回やられます。)

 

このジャケットはマーガレット・バークホワイトの「ルイスヴィルの洪水」をモチーフにしたもので、タイトルも写 真中の看板のコピーをもじった。使い方で意味が変わる。言葉は恐いねえ。